オタク明治大学生の日記

明治大学国際日本学部のオタク大学生があなたに送るあれこれ

【国日の授業がオタクホイホイな件についてwwwwwwwwwww】 特撮の歴史と技術A第一回、二回の感想

どうも、六大学野球中止をうけてプーさんのホームランダービーでバーチャル六大学野球をやっていたところ、丸一日溶かしてしまった、たうよしです。

 

今日は国日ならではの特色あるオタク講義の中の一つを受講した感想を書いていきますので、国日の人は来年の履修の参考に、他学部の人は他学部履修の参考になるのではと思っております。

 

 前書き

現在僕が受講しているのは氷川竜介教授の「特撮の歴史と技術A」です。この授業では特撮フィルムの歴史をを通してそれがのちの映画やアニメーションなどにどのように影響を与えていったかなどを学ぶ授業です。まだ二回しか受けていませんが、毎回新しい発見があるのでとても楽しいです。と、前置きはここまでにして僕の実際のレポートをもとに考察などを書いていくので、受講者の方は意見の共有の場として役立つのではと思います。

 -------------------------------------------------------------------------------------------------

特撮の歴史と技術A 第一回レポート

 

今回の授業から特撮の始まりと初期の発展について学んだ。中でも個人的に特筆すべき点をキーワードに即して三つにまとめる。

 

まず特撮はフィルムによるイマジネーションの飛躍(キーワード①)によって現実には不可能であるとされたことを特撮フィルムという現実に落とし込んだことが想像力の拡張につながりあらたな芸術(キーワード②)をはぐくんだということを新たに知ることができた。実際にキングコングや恐竜が現代に実在しないものと仮定して、特撮というものはやはりそういったifの面を描くことが可能であり、そうすることで科学と自然との対比などのテーマを描き出すことのできる数少ない芸術ではないだろうかと考える。

 

そしてトリックフィルムの発展、トーキーの誕生を経験しリアリズム(キーワード③)の台頭によってトリックフィルムから変容し現代の特撮作品への系譜が生まれていったと考えられる。このリアリズムの追及がなければかつてのトリックフィルムは現代の大作や名作と呼ばれる映画や特撮といったものにつながらなかったと考えることが可能であり、それを支えたのはやはり特撮技術というものが一種の発明でありそれが蓄積されて発展していくことにあるのではないかと個人的に考えた。

--------------------------------------------------------------------------------------------------

 では第一回の補足と解説をやっていきたいと思います。

まず特撮の初めは1800年代であり、たまたま演者が席を外した際にフィルムを回し続けたところ、まるで突然消失したかのように見えた、というアクシデントをきっかけとしてこれに目を付けたマジシャンたちが当時の特撮をリードしていき、彼らの作るフィルムはマジックフィルムやトリックフィルムと呼ばれました。動画の順番を入れ替えたり、カットインを入れるなどといった技法もここから生まれていきます。そして1930年ごろになると模型をストップモーションで動かすことでつくられた「キングコング」が大ヒットし、特撮の歴史が大きく動きます。

f:id:daigakusei_diary:20200522192055j:plain

キングコング(1933)のポスター

日本では1900年初頭に海外同様に偶然からトリック撮影を発見、のちにこれを利用した忍者映画などが量産されますが、当時の映画はサイレントが主流であったために演者をうまく映して迫力を観客に伝えることが重視されており特撮のような凝った技術は必要ないとされていたため、忍術映画たちは影を潜めていきます。

 

そして日本は戦争に向かっていくわけですがここで国民の士気を高めるために戦争映画が人気を博し、重視されるようになります。ここで活躍していくのがゴジラウルトラマンで有名な円谷英二だったのです。

f:id:daigakusei_diary:20200522192817j:plain

ゴジラ(1954)のポスター この年は第五福竜丸の水爆事故の年である。ゴジラはこの水爆事故をきっかけに目覚め、暴れまわるという設定。

 

特撮史はいったん置いておいて特撮そのもののお話をちょっとだけ。

特撮というものは特殊な技法を使うことで怪獣などの実在しないもの、つまりフィクションを描くことができるものだが、CGやアニメーションと違って、特撮セットなどは実在するものであり質感、重量感及び迫力が画面越しからでもダイレクトに伝わってくる。よって先述のCG、アニメ以上のリアリティを内包している表現技法であると個人的に考えている。それこそが特撮の人気の秘訣なのではないだろうか。

 

--------------------------------------------------------------------------------------------------

特撮の歴史と技術A 第二回レポート

 

今回の授業から怪獣映画の誕生とその時代背景及び撮影技術について学んだ。その中で特に個人的に興味深いと思った事象をキーワード3つに結び付けてまとめたいと考える。

 

まず今回の授業の大部分を占める特撮作品「ゴジラ」について記す。ゴジラは1954年の第五福竜丸の被ばく事件をもとに短期間で制作されたにも関わらず、そこには工夫や技巧を凝らした高度な特撮技術が使われていた。私はこの授業に際して実際にユーネクスト(動画ストリーミングサービス)で事前にゴジラを視聴してきたが、60年以上の作品とは思えないほどの迫力とクオリィティを感じることができたことから現行の特撮及び映画的技法はこの時点で概ね完成しているといっても過言ではないのだろうか。また、決して荒唐無稽の怪獣映画という照れを持たずに原爆の恐怖に対する憎しみと驚きの目で作っていこう(キーワード①)という制作者の思いが反映された非常に示唆的かつ興味深いストーリーはゴジラが名作たる所以であった。私はこの作品を見るまではゴジラは単に特撮的な技術を駆使し大怪獣を登場させたために歴史に名を刻んだのであろうと考えていたが、それが全くの勘違いであったとゴジラ本編を視聴したうえで改めてこの授業を受けることで発見できた。

 

続いてはゴジラをはじめこの時期の特撮は軍事科学、軍事教育といった戦争の産物(キーワード②)であるという点だ。日本は戦争を経験した国家であり、その影響はこの時期の特撮作品に色濃く表れている。以下は個人的な考察ではあるが、ガイナックスによるアニメーション作品「トップをねらえ!」(1988)では劇中に登場する地球帝国宇宙軍一等宇宙戦艦ヱクセリヲンに漢数字モニターなどが内蔵されており、これは制作陣の一人庵野秀明が海軍に造詣が深かったため採用されたと聞いているが、これもやはり戦争の産物である戦艦からのインスパイアであると考えるならばこれらの戦争の影響に始まった特撮の遺伝子はのちのアニメーションにも影響を与えているのではないだろうかと考えられるのではないかと授業を通して考察した。

 

そして科学の善と悪、自然と人工などの対立軸(キーワード③)はさまざまな媒体に見られるテーマではあるが、特に前回のキングコングをはじめ特撮作品に多く見られる。理由は諸説あるだろうが、私は特撮というのは現実(いわゆる通常の編集)というテーゼに、非現実というアンチテーゼ(特撮的技法による)を重ね合わせることで生まれる表現技法であるからだと考えた。再びガイナックスの作品を例示するが、アニメーション作品「不思議の海のナディア」(1990)などでは科学の功罪に対するテーマが色濃く描かれており特に15話

「ノーチラス最大の危機」に色濃く表れている。ダイコンフィルムなどで自らウルトラマンに扮することなどからも分かるように庵野は自ら特撮に影響を受けていることを公言しており、この作品のテーマは特撮を意識したものかは定かではないが、無意識だとしても間違いなく根底には特撮作品に宿る対立項が根付いており、ここでも特撮の遺伝子がのちのアニメーション作品などに影響を与えたのではないだろうかと考察することができる。

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------

様々な工夫を凝らした撮影で戦争映画で一躍名を挙げた円谷英二によって1954年ゴジラが完成する。第五福竜丸の水爆事故を受けて作られたこの映画は短期間の作成のため、当初はキングコングのようにストップモーションを取り入れて行われるはずであったが、急遽着ぐるみを利用し制作のスピードアップを図ったエピソードがある。日本にスーツアクターという概念が誕生したのである。また、短期製作を支えたのは東宝の資金力及びインフラ整備であり、これだけの大作を一年かけずに制作が可能だったことから、当時の映画産業の規模の大きさがうかがえる。

 

ゴジラの中でふんだんに使用された特撮テクニックはかつての戦争映画の中で培われたものであり、これは日本が戦争を行った国であることから生まれた数少ないメリットである。そしてさらに発展していく特撮フィルムであるが、その技術の多くはアニメーションや映画へと広がり現在まで続いている。ぼくのレポートで言及したアニメなどにはその影響が色濃く出ていると思う。

 

以上特撮の技術と歴史Aの第一回、第二回を受講した感想でした!!